今日付けの朝日新聞東京都内版の朝刊に意見が掲載されました。

内容は、6年前の記事から6年経ってどうか?という記事です。6年のスパンで載せられるのは嬉しいですね。

修学支援制度とは、俗にいう「高等教育無償化」というものですね。実際には無償化には程遠いですが、経済的に苦しい家庭に、専門学校・短大や大学の授業料の一部が支給されるものです。ところが、その制度の周知がなかなか進んでいません。記事にあるように、都立高校の教員が「自分で調べてください」といったのには、腰抜かすほど驚きました。例えば、資料を渡すとか、進路部の〇〇先生に聞いてごらん、とアドバイスするならわかります。

この問題は2つの側面があります。1つは、記事にもあるように、制度の周知の問題です。これは国や地方自治体が真剣に取り組んでもらいたいと思います。
もう1つは、教育機関の「平等性」が悪い方向に出ているということです。学校は全員に同じように接しなければなりません。その意識が強く出すぎて、「家庭の経済状況は学校には関係ない。必要なら各自で調べるべき。」という意識に傾きすぎているものと思います。

大学生のころに、つばめ塾でボランティア講師をしていた人がいて、今はある都立高校の教員をやっています。数年前、つばめ塾の卒業生がその高校に入りました。入学時に「うちの卒業生が行くからよろしく!!」と伝えておきました。すると、その先生は、その子に合っている民間奨学金を見つけてくれ、応募の手続きを勧めてくれました。しかも、応募の作文まで面倒みてくれたというのです。

意識が変われば、やろうと思えば、ここまでのことができます。だから、生徒側からシグナルがでたら、敏感に感じ取れるような、「感受性」だけは高めておいて欲しいのです。

なぜここまで強く主張するかというと、私も高校3年生の時に担任の先生に教えてもらって日本育英会の奨学金を借りたからです。高校2年生の時の我が家の年収は98万円でした。3年生の春に授業料が払えず、「高校辞めて働け」と父に言われたので、慌てて担任に相談しました。そしたら、「自分で調べなさい」とは言わずに、「この書類に書いたらいいんだよ」とすぐに手渡してくれたのです。毎月1万2000円を借りて、なんとか卒業することができました。その時の思い出は、書類の計算式どおりに、収入から、控除額を引いていったら、結果が「0円」となり、先生に見せたら、驚かれたことです。「0円、、、これは絶対に奨学金認められるわ、、、、」と言われ、安心したことをよく覚えています。こういう先生に支えられて今の私がいるので、記事のような教師について、思うところがあるのです。

高校を卒業して、専門学校や大学で学ぶことは、決して贅沢なことではありません。東京では高校を卒業するうち、90%近くの子が進学しています。

子どもたちの未来、将来を政治家だけにまかせず、社会みんなで考え、行動していこう!!というのがつばめ塾の主張です。

認定NPO法人八王子つばめ塾 理事長 小宮位之