八王子つばめ塾は、ロシア連邦による、ウクライナへの侵攻に反対します。
私たちがここで何か述べたところでウクライナの戦況に影響を及ぼすことはありません。だからと言って黙っていることはできません。

私は映像制作の仕事で、アフリカのウガンダの少年兵士問題と、レバノンのパレスチナ難民を直接取材したことがあります。ウガンダでは、反政府軍が村々に押し入り、少年を誘拐しては、兵士にして反乱を続けていました。レバノンの難民キャンプでは、中東戦争以来の難民が70年にわたって祖国に戻れない状態で暮らしているのを取材しました。紛争は貧しさの元凶です。絶対的貧困を目の当たりにしてきました。元兵士の少年は、インタビューの中で「兵士になってから、生まれた村に押し入った時に、銃を撃ってしまったから、もう故郷には戻れない」と遠い目をしながら言っていたのが一番印象的でした。15歳の少年です。日本ならば希望に満ちた高校生年代です。これが世界の現実なんだと、取材の後、毎晩ホテルで泣きました。その時、「今はカメラマンの見習いだけど、いつか、人を育てる立場にになったら、絶対に人材を育てよう。今の世界から少しでも世の中が良くなるような行動ができる若者を。」と誓いました。それがつばめ塾を作る遠因となりました。

私の祖父は、帝国陸軍に徴兵され、南京を経て、インドとビルマを攻撃するインパール作戦に従軍しました。半分が亡くなったとも言われるこの作戦に生き残って帰ってきてくれたおかげで今の私があります。小学3年生の時から、祖父は毎月1回、近所の床屋に来て、その帰りに必ず我が家に寄ってくれ、毎回インパール作戦の話をしてくれました。高校生の時まで続きましたので、100回以上は同じ話を聞きました。そして戦争の悲惨さをいつも教えてくれました。「戦争は台風や地震と違って、天から降ってくるものでもなく、地から湧いて出るものでもない。人間が起こしたものだ。人間が始めたことなら、人間が止めることができる。絶対に話し合いで解決することができる。戦争は絶対に起こしちゃいけない。。。」と最後は涙目で話が終わりました。

私は、世界の為政者がどんな美辞麗句、華文彩句を並べて戦争の正義を説こうとも、信じません。私たちが想像もできないような苦しみを、実際の戦争で感じて話してくれた祖父の言葉の方を信じます。

現在、ニュース報道を見て、何もできない自分の無力さに落ち込むことばかりです。しかし、「戦争は貧困を生み、奢りが格差を生む」と考え、少しでも思いやりのある日本、世界を作るべく、多くのボランティア講師・寄付者・支援者の皆様とともに、人材の育成に尽力していきます。

ロシア連邦のプーチン大統領には、ウクライナ侵攻の即時停止と、撤兵を求めます。

認定NPO法人八王子つばめ塾 理事長 小宮位之