「祈り」と「NPO法人八王子つばめ塾」は普段ほとんど縁がありません。特定の宗教を推進することはできないからです。しかし、そうも言っていられないのが、受験の時です。
こればかりは神仏に祈るほかありません。
しかし、「奇跡が起きて、入る実力のない高校や大学に入れてくれ」という祈りはしないことにしています。
そうでなくて、本人が今までつばめ塾で講師に教えてもらったこと、自分で一生懸命努力して来たことが遺憾無く発揮できることを祈るわけです。ー受験当日に交通事故に遭うとか、電車が大幅に遅れるとか、そういうことにならないようにーこればかりは本人の努力の範囲外のことですから、講師としては神仏に祈るしかないわけです。

でも受験以外に祈ったことが先日ありました。
母子家庭の方が、市役所に紹介されてつばめ塾に入塾希望メールを下さいました。中学生のお子さんも「勉強できるようになりたい」と思っているようですし、お母さんも「ボランティアで多くの素晴らしい先生が教えてくださる、こんな塾にうちの子を通わせたい」とかなり前向きでした。
ところが、本人が「無料で通う塾なんて嫌だ」と言い始めたらしく、色々本人を説得しようと話したお母さんが困ってしまい、「面接の時に説得してください。」と頼んで来られたのです。
さすがに私も思春期の中学生の気持ちを説得できる自信がありませんでした。
「チビで声が枯れていて家が貧乏だった」のが、中学生の時の3大コンプレックスだった私は、その本人の気持ちがわからなくもないからです。
でもどうして無料塾は嫌なのか、詳しくは分からないので、出来るだけのことはしようと、ちゃんとした塾に見せるために、スーツを着て行くことにしました。
そしてこの時ばかりは、うちにある小さな仏壇に長いこと真剣に手を合わせました。
妻が「随分長いこと祈っていたね〜」と言うので「ある中学生が入塾を迷っている。つばめ塾はこういう苦しい家庭のために立ち上げた塾なのに、こういう子が入れないのでは、立ち上げた意味がない。かといって説得できる自信もない。こうなったら後は神仏の領域だ。それで真剣に入塾を祈っていたんだ。」と答えました。

さて、面接が始まりました。部活の話などをして心をほぐしながら、最後に入塾のことを聞いてみました。本人は、友達に聞かれるからやだというわけではなく、「お金を払わずに塾に通うというのがなんか嫌だ」とのことでした。そこで「では月に1000円、塾代としてちゃんと請求する。そうしたら入ってくれるかい?」と言ったら、「それならやる」とのこと。早速その場でお母さんに塾代を請求し、領収書を発行しました。「今この瞬間に、君にとってつばめ塾は無料塾ではなく、有料塾になりました。堂々と通って来て下さい!!」と言ったら笑顔で納得してくれました。
最後には数学や理科のプリントが欲しいと早速やる気になってくれました。

本当に良かった。真剣に祈った甲斐がありました。

事務局長 小宮位之