本日、八王子つばめ塾は、任意団体として発足して丸13年を迎え、今日から14年目に入ります。
一番最初に、今まで頑張って通ってきてくれたすべての塾生(卒業生)のみなさんにお礼を言いたいと思います。
次に、今まで熱心な指導をして下さったすべてのボランティア講師のみなさんにお礼を言いたいと思います。
次に、今まで多くのご支援を賜った寄付者・支援者のみなさんにお礼を言いたいと思います。
最後に、今まで、つばめ塾を応援してくれた家族にお礼を言いたいと思います。
思い出してみると、この13年間、苦労したことなど1つもありませんでした。
貧困家庭に生まれた私は、本来なら、「お金さえあればいい」「お金が全て」という一生を送るはずでした。
しかし、大学生でボランティア活動に目覚め、33歳で「無料塾」というものに出会い、雷に打たれたような大きな衝撃を受けて、何かに導かれるようにしてつばめ塾を始めました。生き方が変わったのです。
設立以来、多くの塾生、講師、支援者のみなさんに出会えて、楽しい日々でした。活動で肉体的に疲れたことはありましたが、「なんでこんな活動を始めたんだろう?」などと考え込んだことは一瞬たりともありません。これも全て、みなさんのおかげです。
8月下旬、まだつばめ塾を始める直前、初めて「生徒希望のメール」が来て、「これで塾が始められる」とガッツポーズをしたこと。
9月初旬、初めての「講師希望のメール」が来て、「自分の想いが伝わった」と、スマホを持って布団から飛び起きたこと。
ほとんど寄付がない中、卒業生が2000円を寄付してくれたこと。そして続いて寄付が増えたこと。
妻が全面的につばめ塾を応援してくれて、長男・次男がつばめ塾に通ってくれて卒業生になってくれたこと。
この13年間、毎日考えていることがあります。それは、「どうしたら、経済的に苦しいご家庭が、子どもたちが希望を持てるのか。そして、どうしたら自分が子どもたちの役に立てるのか?」ということです。もっと言えば、それしか考えていません。
実は、つばめ塾には、4つの名誉と1つの禁止事項という内規があります。
誇りに思っていることが4つあって、そして、やってはいけないことが1つあります。
名誉に思っていることの1つ目は、「今日こうして2時間、塾生が勉強して、わかったと言って帰っていくこと。」これ以上誇りに思うことはありません。ここに一番の価値を置かないと塾はおかしくなってしまいます。
2つ目は、つばめ塾の卒業生が教えに戻って来てくれていることです。つばめ塾の理念を体現してくれている子が今までに9名もいるのです。「自分も苦しい時期があったけど、後輩のために力を尽くしたい。」という卒業生がいるということは、今までのボランティア講師が真剣にやってきたことの証しだと思います。
3つ目は、社会の第一線で活躍する人材がボランティアをしてくれていることです。これは、有名企業に勤めているとか、有名大学に通っているとか、そういう意味ではありません。働きながら、大学に行きながら、家族を養いながら、悩みも抱えながら、でも時間を作って、交通費も自分持ちで、それでもなお、「子どもたちのために勉強を教えよう」とする講師がいるということです。これこそが社会の第一線で活躍している、ということです。ドバイの大金持ちがお金で雇っているのではないのです。こういう素晴らしい講師に教えてもらっていることが本当に誇りです。
そして4つ目は、民間団体でありながら、返済不要の奨学金制度を運営できていることです。昨年度は300万円もの奨学金を出すことができました。全国の無料塾でここまで大きな奨学金を出しているところはいくつもないと思います。これは間違いなく、寄付者のみなさまのお陰様です。
最後に、名誉に思ってはいけない禁止事項が1つあります。それは、国や行政機関から表彰を受けることです。もちろん、打診など今まで1回もないのですが、将来にわたって、民間の財団などからは受けるかもしれませんが、行政からは受けません。こういう表彰を受けると、「うちは国や行政から認められているんだ、すごい団体なんだ」という驕りが、知らず知らずのうちに出てくるからです。つばめ塾の価値は、「生徒への勉強の提供」です。行政から表彰を受けたことなど、生徒からしたらどうでもいい話です。今日、どれだけ勉強ができるか、これが大事なのです。表彰には何の価値もありません。その勘違いを生まないために今から決めています。
また、今日から、経済的に厳しいご家庭と、子どもたちのために、全力を尽くすことを、改めてお誓いしたいと思います。
設立13周年の記念日に。
認定NPO法人八王子つばめ塾 理事長兼事務局長 小宮位之