あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

始めに、令和6年能登半島地震で被害に遭われた方に対し、お見舞い申し上げます。
少しでも早く心休まる日が訪れますように。

さて、この年頭のメッセージを、何書こうかな~と昨年末に思っていたところ、高熱を出しました。
駅前教室の冬期講習(前半)が12月29日で終わり、30日、31日は、大掃除&一年で一番ゆっくりできる「電源オフ期間」なので、ゆっくり考えよう、と思っていたんです。基本的につばめ塾の理事長は12月30日~1月3日までの5日間だけが「休み」で、あとの360日間の中に、「休み」はありません。常に待機電源が入っている状態です。つばめ塾のメールは常に飛び交っており、夜中でもメールが来れば、一旦は読みます。平日は八王子つばめ塾、土日は東京つばめ塾で動くことが多く、完全なオフと言う日はありません。
30日に、1年間の疲れが全て出たかのような高熱に襲われ、丸々2日間寝込み、元日も布団の上で過ごしました。そうしたら夕方に能登半島の地震が起こりました。

そこで、この年頭所感は、「いつか、ボランティアできる青年が育つその日のために」というテーマで話を書きたいと思います。

私が高校2年生の1月に、阪神淡路大震災が起こりました。私が貧しさ真っ只中の時です。高校の生徒会の呼びかけで募金を集めることになりました。クラスで回ってきた募金箱に、友人が次々にお金を入れる中、私は色々考えました。「とんでもない災害が起きた。私には想像もできない苦しみに遭っている方が何百万人といることだろう。今、日本中の人たちが助けようと動いている。。。でも、普段注目されない人はどうなんだろう。うちのような普段の貧困家庭へは誰が手を差し伸べてくれるのだろうか?」と感じたのです。そこで、1円玉を取り出して「募金」しました。それは「応援したい気持ちはある。けどお金は全くない。」という募金です。
しかし、募金したその時から、その決断に迷いもないし、今も否定しません。それは、今も経済的な苦しさに悩む高校生が現に存在するからです。もし今、私が過去のこの募金を「さすがにもっとしとけば良かったわ!!」などと軽々しく思ったり、否定してしまえば、今、同じ思いを抱える子たちを否定してしまうことになるからです。
全国には、今回の能登半島の状況を見て、心を痛めている中高生が沢山いるはずです。しかしその中に、とても人にお金を出すなんでできない、というお小遣い状況の子も一定数必ずいるはずです。そういう子たちに、「募金できない(もしくは少額の)君は決して心無い人ではないよ」ということを、こんな小さな1団体のHPですが、堂々と表明しなければならないと思うのです。

つばめ塾は、「平時」のボランティア団体だと思っています。一気にお金と人を集めて、集中的にケアをしていく、というよりは、普段からある「社会課題」にコツコツと取り組む、そんな団体です。今回のような地震は、日本中の方が心配されています。だから、それはその方々にお任せすればいいと思っています。つばめ塾がまず取り組むべきは、日本中の人に知られることがない、「八王子」の経済的に苦しいご家庭の子たちへの支援です。

ここまで書くと、「じゃあ、つばめ塾ってのは、勉強さえしていればよくて、被災地のことなんかどうでもいいっていう塾なんか?」という声も想定されますが、そうではありません。だから、うちの塾の目標は、設立の日以来「自分さえよければ良い、お金さえあればよい、という価値観を捨てて、自分も人の役に立つ人になろうと思う青少年を育てること」にしてあるのです。つばめ塾を真剣にやることで、卒業生がボランティア精神を発揮してどこかで役に立つと思うのです。そういう活動に最終目標にしているので、こういう時もいつもと変わらず、「勉強しよう」と堂々と塾生に言えるのです。5日の冬期講習の再開時には、「いつか、ボランティアできる君たちに育つ、その日のために今は勉強をしよう」という話をしたいと思います。

募金箱に1円しか入れなかった高校生は、その後、大学生になって「ボランティア」というものに本格的に触れ、その素晴らしさに感動しました。「世の中はお金が全てだと思ってきたが、お金が出なくても動く人がいるのか?」ということに驚き、ボランティア活動に没頭するようになり、ついには無料塾まで立ち上げてしまいました。

だから、「人のために役に立とうという精神の涵養」こそ必要なのです。

2024年の年頭に当たり、今年もつばめ塾設立の精神に立ち戻り、活動を進めていくことをお誓い申し上げます。

認定NPO法人八王子つばめ塾 理事長兼事務局長 小宮位之