八王子つばめ塾の奨学金は、今年度から「原島記念学生奨学金」と言って、遺言によって財産を寄付して下さった方からの資金で運営しています。その中の「高校生奨学金」がリニューアルしました。
今までは、「八王子つばめ塾を卒業した高校生」という規定がありましたが、今年のNPO総会の議決を経て、外部生にも開かれることになりました。その条件は、「無料塾、子ども食堂、フードバンクでボランティアをする高校生」というものです。
この改定ができたことは、理事長として、本当に誇りに思っています。まずは原資を提供してくださった原島さま、そして運営を支えてくださっている寄付者、支援者、ボランティア講師のみなさまのお陰様です。深く感謝します。
改定に至った思いを以下に書きます。
以前から申し上げているように、私は貧困家庭に育ちました。大きな都営住宅の中で、自分たちは社会から見捨てられているんだという思いを抱いて育ちました。「世の中は結局、お金の有り無しが物事を決めるんだ。」という思いを抱いた中高生時代でした。なので、高校生時代から「ボランティア」というものに、大きな魅力を感じていました。1円の得にもならないことのために、自分の時間、お金を使うなんて、「損得勘定」では絶対に考えられないと思ったのです。
祖父母の支援を得て、大学に進学したのち、私は色んなボランティア活動をしました。ユニセフ募金の呼びかけで街頭に立ったり、途上国に物資を贈ったりしてきました。高校生、大学生のころの「ボランティア活動」というものがつばめ塾の設立に大きく寄与したことは間違いないことです。
一方で、ある程度の金銭的安定は必要です。高校生年代の子たちが、無料塾や子ども食堂の活動に魅力を感じて、参加しようと思った時「やはりバイトしなきゃ」となれば、参加することはできません。
この奨学金には、お金が先にあって、ボランティア活動があるのでなく、もともと活動をするような「ボランティア精神」ある高校生を後ろから応援しようという意味があります。
つばめ塾は、ボランティア精神ある「つばめの巣」に、卒業生が帰ってくるようにとの思いから始めたものです。ボランティア精神ある若者を、社会全体が支えなくて、誰が支えたらいいというのでしょうか?つばめ塾では、経済的な困窮を、パーソナルな問題ではなく、「現代社会の構造の問題から来るしわ寄せ」ととらえています。とはいえ、この社会を瞬時に変えしわ寄せを解消することはできません。そこで、つばめ塾の理想とする「ボランティア精神」ある若者には、つばめ塾が応援しようというものです。
今日、募集を開始して、すぐには集まらないかもしれません。しかしながら、つばめ塾にはその用意があるということがとても大事だと思っています。大人が、社会が、「少しではあるが、今、君に必要なものを提供しよう。決して見捨ててないよ。」という姿勢を示すことが大事だと思っています。
該当する方、ご質問がある方は、ぜひtakayuki.komiya@802tsubamejuku.orgまでご連絡くださいませ。
認定NPO法人八王子つばめ塾 理事長 小宮位之