八王子つばめ塾には、返済不要の5つの奨学金制度があり、その一つが卒業生を対象にした「高校生奨学金」で、その面談を進めております。これは、新2年生、3年生と事務局長が面談し、勉強の状況や進路の希望などを1年に1回聞くものです。ここ2年間は、電話での面談を実施していましたが、今年はコロナの状況も改善しましたので、対面での面談に戻しました。

この奨学金を創設する前は、つばめ塾を卒業してしまうと、全く連絡取れなくなることも多かったのですが、今は少なくとも、各学年8名前後は奨学生がいるので、状況を知ることができます。

高校3年生は、「保育士になりたいので専門学校に進学したい」「4年制大学の経済学部に一般入試で入りたい」「就職をするつもり」など、様々な進路の希望が聞けました。3年生になれば、年間6万円を支給します。もちろん、十分な額ではありませんが、全て寄付金で賄われている「民間団体」としては、創設できたこと自体が奇跡に近いと思っております。進路に向けて、必要なものを買ったり、受験費用に充てたりと有効に使ってもらえるものと思っております。
成績も、評価平均の5段階で「3.0以上」ないと支給しない仕組みになっており、単なるバラマキではありません。努力する人には、それ相当の援助があってしかるべきだと、いつも考えております。

先日ある奨学生に聞いてみました。「高校生活で、うちはやはり経済的に苦しいんだと感じる瞬間ってあった?」すると、2名からこんな答えが返ってきました。「うちは4大進学希望が多いんですけど、みんな簡単に大学行くっていうんです。私は就職希望なので、進学費用はかかりませんが、親からは、大学進学は無理。専門学校なら何とか出せるかも。って言われているんです。なので、大学進学は軽々しく口に出せない。」「私は専門学校志望ですが、大学は厳しいと親から言われていました。」
やはり、今まで私が講演会などで皆様にお話してきた通り、「服や食べ物に困窮してどうしようもないというご家庭は少ないけど、進学する際には費用を用意できない。そこに格差が出てくる」ということでした。
何回も同じことを書きますが、私自身が「大学進学なんてふざけるな!!高校卒業したらすぐに働け」と物凄い剣幕で父親から怒られた経験がありますので、よくわかります。

もちろん、つばめ塾が進学費用を肩代わりすることなんてできません。でも、その一助を出すことができること、大変名誉に思っております。これも全て、全国の寄付者、支援者のみなさまのお陰様です。
みなさまの温かいお気持ちを現実の施策に変えて高校生に届けられるよう、面談、サポートを通してしっかりと行っていきます。
(写真は、面談でなくて、先日の中学生の南大沢教室の様子です。)

理事長 小宮位之