今日は感想です。

卒業と入学のシーズンを終えて、昨年度の塾生たちのことを思い出しつつありますが、改めて塾生に思うことがあります。それは「投資」というスタンスです。
昨年夏の高校生向け夏期講習で、私は参加者をファミレスに連れて行きました。そして講習の最後にこのように話しました。

「僕はこのつばめ塾を、投資という視点で運営している。リターン、見返りのない投資というのは世の中にはあり得ない。だから、みんなにはしっかりリターンしてもらいたいと思っている。来年には大学に進学し、数年後には就職すると思う。就職しても、寄付はいらない。もらったお金は、今まで厳しい状況の中で育ててくれた保護者のために使って欲しい。でも、優しい気持ちを周りに遣うことはできる。社会的に厳しい状況に置かれている人、子ども、高齢者、障がい者、困っている人。きっとみんなの周りにいると思う。その時に、自分のことはちょっとだけ脇に置いて、話を聞くよ、力になるよ、と言って、その人の力になって欲しい。つばめ塾に多くの寄付をしてくれている寄付者も、一生懸命教えてくれたボランティア講師も、みなさんが出会ったその人に手を直接差し伸べることはできない。その人の力になってあげられるのは、その場にいるみなさんだけである。もうすでにファミレスであれほど沢山の料理を食べてしまった。今から返すと言っても受け付けませんから、これから一生懸命勉強して、将来リターンができるように頑張ってください!!」

こんな話をしましたが、みんな頷いて聞いてくれました。この子たちは将来きっと私が全く知らないところで、人のために自然と動ける人になっていることでしょう。

先日、卒業生からメールが来ました。高校卒業後、専門学校に進学し、この春から働き始める子でした。「先生、つばめ塾に寄付をしたいのです。どうしたらいいですか?」「いや、働きだしたばかりだから、寄付は無理しなくていいよ。」「いや、つばめ塾にはとてもお世話になったし、今の私があるのは、多くの先生のおかげなので寄付させてください!!お金がなくても塾に通えるってことは、本当に有難いことですし、少しでも後輩の役に立てばと思っています。」
との会話でした。とても驚き、涙が出ました。エネルギーをもらいました。その子を教えた先生の真剣さが伝わったんだな~と思い、本当に感謝しかないですね(^^♪

ただ、この記事を書くのも多少の躊躇があります。もしこの記事を卒業生やその保護者が見たら、「寄付をしなければならないのか」とか、「今は寄付できる状況ではない」と色んな感情が起きる方もいると思うからです。こういう記事が出たからと言って、無理して寄付をする必要など全くありません。多くの寄付者のおかげさまで、金額的なことは順調に運営されています。ただその「気持ち」が嬉しくて記事に書いただけです。卒業生のみんなは私の知らないところで、一生懸命勉強し、一生懸命働き、機会があれば人のために動ける子たちだと信じていますので。

つばめ塾を始めて8年半が経ち、「長く続けてきて良かったな」と思うことが沢山あります。しかし、1人で続けることはできませんでした。多くのボランティア講師、支援者・寄付者のみなさまのおかげ様で理事長、事務局長という職位にいられることに、心の底から感謝する次第です。

今年は明後日12日から授業を再開します。コロナ禍で日々刻々状況が変わり、それに振り回されて、私自身が落ち込むこともありますが、卒業生もこの中で頑張っていると信じて、また頑張ろうと思います。

八王子つばめ塾理事長 小宮位之