昨日、つばめ塾では、「南大沢教室」「他の5教室合同」「高校生クラス」の3つの「卒業を祝う会」を行いました。昨年は残念ながら急遽中止としましたが、今年は感染対策に留意しながら、実施しました。つばめ塾オリジナルマグカップと図書券1000円分をプレゼントしました。

こうして開催できたのは、多くのボランティア講師、そして全国の支援者、寄付者のみなさまのおかげ様です。深く感謝申し上げます。

その席上、ある講師の方がこのように仰いました。
「昨日の大雨の後、夕方空を見上げたら、大きく綺麗な虹がかかっていました。今みなさんは、希望の進路に合格して、虹を見ているような嬉しさだと思います。しかし虹はいつかは消えます。みなさんも進学したらまた勉強が始まりますから、いつまでも夢みたいな気分ではいられないわけです。さて、昨年からはコロナの中で、昨日の大雨のような、沈んだ、厳しい気持ちでいる方も世の中には沢山います。仕事が減らされた、無くなってしまったなど、厳しい状況に追い込まれた方が沢山いるのはみなさん知っていると思います。みなさんは、進学して将来、そういう厳しい立場にある人を今度は応援できる存在になってもらいたいと思っています。」
横で聞いていて、涙が出てきました。私はつばめ塾の創設者ですから、直接塾生に「人の役に立てるような人になれよ」というようなことは言わないようにしています。それは、塾のトップに言われれば、塾生は「はいはい。そうですよね。」とさすがに頷かざるを得ません。しかし、普段教えてもらっている講師がわかりやすく言ってくれれば、「なるほど」と理解してもらえると思うのです。

その後、ある塾生がこう言いました。「つばめ塾には親に言われて来始めました。最初は嫌々勉強していましたが、そのうち頑張ろうと思って一生懸命勉強できるようになりました。今僕にはなりたい職業があります。今まで塾の講師の方から助けてもらったこの恩を、将来就く職業で、多くの人に恩返しをしていければと思っています。」私は腰抜かすほど驚きました。この塾生は私が話しかけてもほとんど話をしないほど無口な子で、こんなにハッキリ自分の意思を話す子だとは思わなかったからです。
教室の講師に後で聞いたら、「この2年間で大きく成長した」と言っておりました。
他の教室の生徒でも、入塾当初から見たら、目が見違えるほどしっかりしていた塾生もいました。
まあ「無料塾冥利に尽きる」ってもんで、これがあるから無料塾はやめられないんですね。無料塾には大きな可能性があると改めて思った次第です。

祝う会で話す機会があったので、私は以下の話をしました。
「私にとって、高校生時代は、一番辛い時代でした。1年生の時はクラスで誰も友達ができず、2年生の時は我が家の年収が98万円となり、家が最悪でした。3年生の初めには父親から、高校の学費が払えないから高校をやめて今すぐ働いてくれと言われ、奨学金を借りて卒業しました。大学進学も猛反対され、土下座して認めてもらいました。しかしながら、この経験があったから、つばめ塾を作ろうと思ったのです。国語で習う、人間万事塞翁が馬という言葉がありますね。何が幸福のもととなるか、何が不幸のもととなるかわからないという話です。もし高校生時代が順風満帆だったら、絶対につばめ塾は作っていません。そうしたら、今ここにいる人はだれ一人としてお互いに出逢っていないと思います。こうして1年間、お互いに励ましあって勉強できたわけですから、私の高校時代の経験は無駄で無かったことになります。これからのみなさんは、いい時もあれば、悪い時もあります。全てがバラ色の人生なんてことはありません。しかし、その辛い経験が、悲しい経験がいつか人のために役に立つ時が必ず来ます。だから、どんなときも腐らずに頑張っていきましょう。進学した後も、つばめ塾の先生はみんなのことを応援しています。」

昨年、ある人にこのようなことを聞かれました。「つばめ塾を創設され、活動を始めてから、経済格差、教育格差は縮まりましたか?成果はありましたか?」
答えて言いました。「つばめ塾を作る前と今を比べて、格差は改善していません。むしろ悪化しているかもしれません。しかし、状況は大きく変わっています。それは、つばめ塾の卒業生が200人以上いるということです。1円の得にもならないことのために来てくれているボランティア講師に習った子たちが200人以上も育ったのです。これは社会において大きな希望だと堅く信じて活動を日々行っております。」

理事長 小宮位之