今週、私の愚息(長男)がつばめ塾で初めての授業を受けました。中学2年生です。4月には入塾していましたが、5月末までつばめ塾の授業も行えず、6月に再開したものの、中3生が優先ですから、駅前教室の2年生は授業を行えませんでした。ここで2年生向けの週1回のクラスの目途が立ちましたので、ようやく始まった次第です。

つばめ塾を立ち上げた時、長男は幼稚園の年長組でした。開始当初は塾生がとにかく集まらず、生徒集めに苦労していました。長男は「パパ、つばめじゅくのこどもはあつまった?」といつも気にかけてくれていました。その長男が塾生になったのですから、感慨もひとしおです。

ここで疑問や疑念を持たれるのは嫌なので我が家の入塾理由を公開させてもらいます。「父親である私が八王子つばめ塾を設立し、それにのめりこんで半年後に正社員を辞職。以来非正規雇用でなんとか生活してきました。現在では高校と大学の非常勤講師と、病院でのアルバイト、八王子つばめ塾から理事報酬(月額7万円)をもらい、3足のわらじを毎日履き替えて暮らしています。妻がパートで働いているので、今日明日の食料に困ることはありませんが、息子3人を育てながら、塾代を出す余裕は全くないので、申し込みました。」「他の有料塾には通っておりません。」「本人には勉強する気持ちがあります。」
以上の文面を2月に事務局に送信し審査してもらいました。(まあ最後に許可を出すのは事務局長の私ですので、そこは何とも言えませんが、、、笑)

我が家に余裕がないのは第一の理由ですが、他にも理由があります。それは、息子にはつばめ塾でどうしても学んでもらいたいのです。やはり子供が学ぶ環境はとても大事です。公立中学で学び、できれば都立高に入って、中にはいるであろう経済的に厳しい家庭の子と一緒に学ぶことが小宮家にとってはとても大事なことだと考えています。それは、私が「将来どんな仕事や立場になろうと、人生で一番大事なことは、ボランティア精神をもち、行動に移すこと。これが充実した人生につながる」と堅く信じているからです。ボランティア精神を持つには、課題意識を持つことが重要です。私は貧困家庭に育ちました。小学校の高学年のころから、疑問だらけでした。「どうして我が家はこんなにお金がないのか?」「住んでいる都営団地を見れば苦労している家庭が多いのに、団地を一歩出れば高級外車がどうしてこんなに走っているのか?」「我が家はこんなにお金がなくて苦労しているのにどうして国は助けてくれないのか?」高校を卒業するまで、心の奥底ではこんな疑問が渦巻いてました。
つばめ塾で、「うちもお金なくてさ~~」なんて会話は絶対に飛び交いません。でも、ふとした瞬間に価値観を垣間見れる瞬間はあります。例えば、「中学の友達と遊ぶといつもカラオケ行きたがるんだけど、毎回は行けないよ。」「そうそう。私はお金かかる遊びの時は、親と出かけるからと言って断るよ。」とか、「うちは、私立高校の併願は受けさせてもらいないから、レベル下げてでも絶対都立受かれ、って親に言われているんだ。」「俺は受けさせてもらえるけど、私立入ったら大変だから、頼むから都立に、って言われてるわ!!」というような会話です(実際に塾で交わされてました)。
こうした何気ない会話の中から、世の中の矛盾、課題、理想と現実のギャップなどに思いを巡らせて、自分なりに感じ取ってもらいたいのです。

そして最大の理由として、「つばめ塾が最高の塾」だと信じているからです。カリキュラムや授業時間数は、有料塾には及ぶべくもありません。けれども、講師は超一流です。1円の得にもならないことのために自分の時間を削って来てくれるような、こんな素晴らしい人に出会う機会は、一生のうちでそう何回もあるわけではありません。私の価値観の中では、うちのボランティア講師はいわば「人生のお手本」です。その講師に応援されて勉強できる環境なんて、簡単に手に入るわけではありません。だからこの最高の塾に通わせたい。まあここはどうしても親心が前面に出ますね、、、

とはいえ、これは全て私の勝手な「思い」であり、思う通りにいかないこともあるでしょうし、息子には息子の人生があります。ただ将来、どんな職業やどんな立場にあっても、経済的に苦しい立場にいる人、社会的に厳しい立場にいる人のことに思いを馳せ、機会があったら動ける人に成長してもらいたいと願っています。

でもこれは、息子だけでなく、塾生全員に願っていることです。
「応援された自分が、今度は応援する人に!!」
こういう願いをもって、日々取り組んでいます。

それにしても、あっという間の8年間でした!!

事務局長 小宮位之