今日は雑感を。
中村哲医師がアフガニスタンで亡くなりました。私やつばめ塾とは一切関係ありませんが、ニュースを見て、子どもの頃の記憶を思い出しました。ネパールで医療に尽力した岩村昇氏の「ネパールにかけるにじの橋」という本を小学校低学年の時に母が読んでくれたことを思い出したのです。
世の中には損得を越えて素晴らしい業績を残す人がいるものだと子ども心に感じました。
次に思い出したのは、確か小学校6年生くらいの時に、カンボジアの地雷を撤去する機械を開発した方の話を新聞の「人」欄で読んだことです。仕事の後、一円の得にならないことを真剣に取り組むその姿勢に感銘を受けました。しかしその後に思った感想は「僕も、人欄に出たい!!」という目立ちたがり屋根性丸出しの感情でした(笑)
貧しい都営団地に育った私は小学校高学年の頃から、「世の中結局お金がなければ何もできないじゃないか!!」とか「世の中お金が全てだ!!」ということを感じながら育ちました。だから逆に「お金をもらえないのに、人のために動く人」の存在が物凄く「尊く」感じられたのです。「1円の得にもならないのに、人のために動く人なんているんだろうか?もしいるとしたら、それはなんて素敵な生き方なんだろう」と思って成長したのです。
八王子つばめ塾が広く知られるようになったきっかけが、読売新聞多摩版の「たま人」という欄に取り上げて頂いたことでした。小さい頃に憧れた「人」欄に出て、夢が叶いました。そして何よりも「1円の得にもならないことを真剣にやる」つばめ塾のボランティア講師に沢山出会うことができました。
こう考えると、やはり先輩の「生き方の後ろ姿」を通しての、後輩の「憧れや感銘」は人間の原動力になります。中村哲医師の後に続く人材がきっと、日本から出てきます。いや、出なければ日本の価値はありません。自分さえ儲かればいい、お金さえあればいいという国民性の国は、決して「先進国」ではありません。
私には医師になる能力も外国語を操る能力もありません。ただ一つあるのは、一円の得にもならないつばめ塾のボランティアに真剣に取り組んで下さる講師の方に、「今日もありがとうございます。」と頭を下げることだけです。事務局長として、役目で下げているのではありません。本当に心の底からそう思えるのです。一円の得にもならないことのためにこんなに真剣に取り組んでくれるなんて、なんて素敵な生き方なんだろう。と毎日思えるのです。昨日も一生懸命に学ぶ生徒と真剣に教える講師の姿が教室にみられました。
小さなことでもいい「他のために動ける人材」が、つばめ塾の生徒から出ると信じて、これからも取り組んでいこうと思います。
事務局長 小宮位之