つばめ塾には、現在6つの教室があります。教室ごとに開催曜日が違い、いろんな形で授業が行なわれています。
事務局長の私は、月に一度程度は各クラスを見回るようにしていますが、当然行けない時もあります。
そこで、つばめ塾設立以来、初めて、事務局長と講師がその教室で話し合うという「事務局長ミーティング」なるものを立案し、3月1日から7日まで1週間連続で行いました。
つばめ塾の先生は基本的に週1日のボランティアです。例えば月曜日の先生に、火曜日に会議をやりますよと言っても、「火曜には来れません」となるので、曜日ごとの開催が基本で、かつ授業を止めなくては会議ができません。
そこで、受験や学年末試験が一段落ついたこの時期に開催することにしました。
今回は、北野教室と元横山教室の一部を除く、5教室9会場でミーティングを行い、のべ55名の講師と話をしてきました。
テーマは「学力・成績向上の為に、あと一つ何ができるか 〜転ばぬ先の杖〜」でした。
失敗して得る経験、回り道をして得る経験は誰にもあることですし、否定されるものではありません。しかしながら「都立高受験」では絶対に転ばせられないご家庭が多いのもつばめ塾の特徴です。今回の受験も、31名の受験生のうち16名は、都立受験のみでした。「あこがれの都立A高校には行けなかったけど、私立B高校でもいいじゃないか」と簡単には言えないのです。私立高校の入学時の入学金や制服などの負担は、相当きついものがあります。
なんとかして、都立高に入れてあげたい。という事務局長の切なる願い、つばめ塾設立の一番大事なところをテーマにしました。
ミーティングでは、各教室での課題や問題点などが出され、それに対してどのように改善をはかっていくかが真剣に話し合われました。あとは、「事務局長が1年に1回は来て会議をしてくれた方が良い」との意見も出され、それは本当に反省でした。ただ、ここまで大きな塾になったのだと思うと嬉しいです。もちろん、行き届かないことではなく、ボランティア講師が責任もって運営して下さっていること、さらにその分だけ多くの生徒を受け入れていることに喜びを感じました。
昨年も、ある教室の授業にお邪魔したところ、生徒が「あのおじさん誰?」と隣の生徒にコソコソ聞いており、「このつばめ塾を作った人らしいよ」と答えていました(笑)これはとてもいい傾向だと思いました。教室の先生が前面に立って真剣に取り組んでいる証拠です。

無料塾は、「設立したらバラ色の世界が広がる」というものでもありません。うまくいかないこともあり、悩むことも多いです。でも、生徒の学力向上の為に1円もとらずに、悪戦苦闘するのが重要だと捉えています。現代の社会では、お金を出さなければ、自分のために悪戦苦闘してくれる人などいないからです。
今回のミーティングの最後によく言ったのが、「しかし、冷静になって考えてみれば、1円の得にもならないことのために、大人が何人も集まって、あーでもない、こーでもないと真剣に議論してますね!!」ということでした。

私のつばめ塾の原点は「自分の中学生時代」にあります。年収150万円の家に育った私は、住んでいる都営団地の外に沢山走る高級外車と、我が家の暮らしを比べて、「どうして社会は貧困家庭に手を差し伸べてくれないんだろう」という単純な疑問を常に抱いていました。だから、「無料でやる」ということが重要だと思っています。
どこに行ってもお金が必要な世の中で、「お金を払わなくても、応援してくれる人がいるんだ」という思いが、「自分も人を応援できる人になりたい」という思いを再生産すると固く信じて、これからもつばめ塾の活動と、無料塾の拡大に尽力していきたいと思います。

事務局長 小宮位之