今日午後9時からの「見えない貧困」を見ました。(再放送は14日深夜0時10分から)
一言で言うと、物凄くいい番組でした。特に、
1、アンケート調査に基づく裏付けがあったこと。
2、子どもたちの声を拾っていたこと。
3、大学進学問題を取り上げていたこと
この3点は大事なポイントです。
1については、剥奪指標という新しい概念をもちいていることが高く評価できます。現代日本では、「スマホを持っている」とか、「バイトをしてお金持っている」など、外見からみたことで評価しがちですが、貧困が何を奪っているのか?ということは見えません。「チャンス」を目に見せることはできないからです。
特に、「家族旅行に行けない」という所は、私もぐっときました。我が家もほとんど家族旅行に行ったことがありません。旅行に行ったのはおじさんがよく連れて行ってくれただけで、我が家3人だけで旅行したのは、高校に上がる前の山梨、長野旅行1回だけでした。それも普段の我が家では考えられない贅沢なものでした。「旅行なんてとんでもない」という生活をずっとしていたのです。
どうしてデータによる裏付けが必要かというと、個人を取り上げると、「この人が悪い」とか、「意外といいもの持ってるじゃないか」とか、本質から離れて、個人の責任論に感情が持っていかれがちなのです。データを見ることで、「この家庭だけの問題ではないんだ」「意外と多くいるものだな」と気づくことができるのです。
2については、こどもたちの声をよく聞いていました。さすがNHKです。丁寧に取材をすすめないと、本音を聞き出すことは非常に難しいです。
3については、大学進学時に払い込む費用を取り上げていたのはとても重要です。入学後の減免などの措置はあっても、入学時の多額の資金は、高校生ではどうしようもありません。進路指導室の様子は、本当に切ないものがありました。
私が高校2年生の冬、進路を決める際に、父親に「お前を大学に行かせるお金は1円もない!!」と言われた時のことを思い出しました。2回土下座をし、何とか何とか進学を認めてもらいました。しかしそれは母方の祖父母が資金を出してくれるという保証がもらえたからなのです。それを思えば、私は我が家の生活自体は非常に貧しかったけれど、運が良い家だったと言えます。だからこそ八王子つばめ塾を創設したのです。経済的に厳しい子どもを前にして、「自分は運が良かった。それでは失礼します。」と素通りすることは、私にはできなかったのです。
番組を見終わった時、自分の過去の生活、そしてつばめ塾に通ってくる生徒の家庭状況に思いを巡らし、涙が溢れてきました。
今日は、元横山教室で高校生1人、クリエイトホールで中3生2人、南大沢教室では10人を超える生徒が一生懸命勉強をしていました。そしてそれを無償で支える先生が今日だけで8名も来て下さったのです。その3教室を巡り、子どもたちに声をかけてから番組を見たので、余計思いが強くなったのだと思います。
さあまた明日から、多くの先生とともに、子どもたちの学習支援に力を注ぐとしましょう!!
事務局長 小宮位之