昨晩のNHKスペシャルを見ました。
「ばっちゃん」という番組で、広島で子どもたちに食事を提供しつづけている中本さんという方のドキュメンタリーです。少年院行くような子とか、育児放棄されてしまった子どもにご飯を食べさせてあげたりと、本当に素晴らしい方でした。
何度も感激して涙なしには見られません。色々感想ありますが、一番印象に残ったのは、取材陣が「なんでこんな大変なことを続けられているのか?」という問いに「自分でもわからん」と中本さんは答えていました。最後の方のナレーションで、
「中本さんは、『面と向かって助けて!と言われたことがない人には、わからないんじゃなかろうか。』と、ぼそっと呟きました。」
という所でぐっときました。
中本さんの足元にも及びませんが、つばめ塾を運営していると、「どうしてそんなに熱心に運営しているのですか?」と私も聞かれます。どうして?と聞かれても、、、というのが本音です。
映像制作の仕事を辞めたのは、自分の将来を考えてのことでした。映像制作に向いていないことを感じていましたので、悩んでいたのです。でも半分は「もっとつばめ塾を真剣にやってみたい」という気持ちでした。3月末で退職し、4月には長男が入学式、次男が幼稚園入園というタイミングで、一つも仕事が決まってませんでした。文字通りの無職です。そこから予備校の講師、家庭教師、弁当屋での配達など、それこそ必死になって働きました。こんなことを笑って話すと、「奥さんとお子さんが3人いるのに無謀でしたね。」とか、「よく決断しましたね。」と言われますが、なんとも答えようがありません。これは、貧困家庭に育った人間で無ければわからない感覚だと思います。「お金がなくて困っている」という子どもを無視して通り過ぎるわけにはいかないのです。
だからつばめ塾は、生徒にしっかり勉強してもらって、今の経済的な厳しさを糧にして、将来、自分の得意な分野で「手を差し伸べられる人」になってほしいと思っています。
番組を見て感激しながら布団に入りました。子どもが隣に寝ています。本当に幸せだなと思いました。取材で行ったウガンダの子どもたちのことを思い出しました。反乱軍が出没する地域では、10歳~12歳の子どもたちは、誘拐されて「少年兵士」にされるのを恐れて、毎晩、町の中心部に泊まりにでかけます。ユニセフのバカでっかいテントのなかで、毛布も枕もなく何百人と雑魚寝しています。朝になると家に寄ってから小学校に向かいます。3年ほど、毎晩そういう状態で寝るのです。そう思えば、こうして親子で寝れること一つとっても「幸せ」なことです。現在、非正規雇用になって貯金できる生活ではありません。しかし、こうして今幸せなんだから、何とかしてつばめ塾の子どもたちのために動いていかなければと改めて思いました。
事務局長 小宮位之