次男が夏休みの宿題で「かさ地蔵」を読んでいた。
長男の時から、「かさ地蔵」だけは私が読み聞かせするようにしています。
一番好きなのは、お地蔵さんに笠をかけてあげて、家に帰ってくる場面です。
おばあさんが「おじいさん、それはいいことをなさいましたねぇ。」という場面で毎回、涙で絵本が読めなくなります。
なぜかというと、私の妻が同じようなことを言ってくれるからです。
「今日はこんな大変なご家庭の子どもが入ってきてくれた。つばめ塾の情報が届いて、入塾してくれて良かった。」と妻に言うと、「つばめ塾があってよかったね。つばめ塾が生徒さんの役に立てて良かったね。」と必ず言ってくれるのです。

売り物の笠をお地蔵さんにかけてしまい、さらには足りない分は自分の手ぬぐいまでかけてしまって、普通で考えたらおばあさんに「あんた馬鹿か!」と罵られてもいい場面です。(もちろんそれでは昔話になりませんが。)
うちも正社員を辞めて収入は激減、退職金も1年で底を尽き、いろんな細かい仕事で何とか食いつないできました。少しはましになりましたが、貯金できる余裕は全くありません。

しかし妻は、「こんなことしたからうちが大変になった」とか、「無料塾なんて下らないことしてないでもっと働いて!!」と一回も言ったことがありません。
私が貧困家庭に生まれ育っていることを知っているので、いつも応援してくれています。絵本を読むといつもそれを思い出して涙が止まらないのです。

設立して4年。塾生の規模ややり方はある程度固まりつつあります。
しかし、まだまだです。ここで一息つくつもりは全くありません。もっともっと多くの生徒を受け入れ、それでいて学力がより向上する努力、「個人が立ち上げる無料塾」の設立を応援する仕組みを作るためにもっと力を尽くしたいと思っています。

そして何より、つばめ塾を「生徒の就労意欲を高め」、「日本で活躍する人材」、ひいては「世界を良くする人材」を生み出すプラットホームにしなければなりません。

これは決して夢物語ではありません。
最初は私一人でした。でも、自分の手ぬぐいまで提供する意識で頑張っていたら、多くのボランティア講師、寄付者、応援して下さる方々が集まってきてくださいました。まるでお正月前に財宝を持ってきてくれたお地蔵さまみたいではないですか!!こんな奇跡は始めた時には思いもよらないことでした。そう考えたら実現できます。みんなで力を合わせたらできます。

また明日から、皆さんの力を借りて、生徒のために力を尽くしたいと思います。

小宮位之