昨日発売の週刊誌「AERA」に私のコメントが掲載されました。

今回のAERAの特集のテーマは「読解力」です。
まず新井紀子著『AI vs教科書が読めない子ども達たち』を一つの基軸に話がすすめられます。この本は、読解力を科学的に調査したデータをもとにしています。
その中で、読解力の差は「塾に通っているいないは関係ない」「読書量は関係ない」「家庭の経済的な状態には関係が認められる」となっているそうです。
そこで、つばめ塾にお鉢がまわってきたのです。「経済的に苦しいご家庭のお子さんを多くみている小宮さんから見てどうですか?」普段つばめ塾で講師の方から聞いている情報を私なりに解釈して、総合してお話しています。

4月16日にAERAdotにてインターネット上に公開されました。(4月18日追記)
https://dot.asahi.com/aera/2018041300045.html

まず、勘違いして頂きたくないのが、「つばめ塾の生徒全員が読解力が低いわけではなく、中には低い子もいる。」ということです。また、私はデータをとっているわけではありませんので、あくまで「推論」です。ですから、見解の相違は当然あります。

 

私の発言の要旨は「関係の貧困が読解力を低下させる」ということです。著者の新井さんの言う「通塾に関係なく、読書量に関係なく、経済状態に関係ある」が妥当であるとの前提に立てば、忙しい保護者が多く、親子のコミュニケーションが低下している一方で、今まで地域が担っていたコミュニティの関係が希薄になってきたことで、関係性の貧困が読解力の低下を招いているのではないか?ということです。塾も関係なく、読書量が関係ないのであれば、なぜ経済状態が関係あるのか。それは、「家での会話量」と「ナナメの関係が多いかどうか」だと推測しています。例えば母子家庭だったり、共働きで両親ともに忙しいと、家庭で会話する時間が相対的に見れば少なくなります。また、同級生や先生、保護者以外の人とのコミュニケーションが多ければいいのですが、アパートの玄関を出て、周りに話せる大人や近所の人がほぼいない都市部では地域のコミュニティも期待できません。そうすると、習い事や地域のスポーツ(サッカー、野球など)をするかしないかで差が出てきてしまいます。そこしか差は出てきません。そこでつばめ塾では、縦(保護者、先生)や横(同級生)以外の「ナナメの関係」を大事にしています。直接の関係ない他者とどれだけ関わるかということが大事だと考えています。
読解力の向上に、特効薬はないと私は考えます。それよりも、多様な人と、多様なコミュニケーションをとることが、地道に向上する道だと思います。

つばめ塾は26ページに載っていますが、そこだけでなく、その前から読んで頂ければ、ご納得頂ける内容になっております。

特定非営利活動法人八王子つばめ塾理事長 小宮位之